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ドル円と購買力平価の関係から為替相場を予想する方法

どうも。当ブログを管理運営する「ななし」です。「一生勉強」をモットーに法律系の国家資格を独学で勉強しており、現在は司法書士試験に独学で挑戦中です。

今日は、購買力平価を使用して長期のドル円相場を大雑把に予想する方法を、実際に現在のドル円相場を予想することで紹介してみようと思います。記事の後半ではチャート分析を少しだけ加味したドル円の見通しも書いています。

FXのテクニカル指標に、価格帯別出来高や出来高などがあれば、長期的な予想はもちろん短期の予想も個人的にやりやすくなると思うのですが、FXには全体の価格帯別出来高などが分かるものがないので、その代わりに購買力平価を使用してドル円の長期予想をしています。

購買力平価を基準としてドル円相場の長期的な予想をしているので、かなり大雑把なドル円予想です。ちなみに、この購買力平価を使用した為替相場の予想が短期トレードに与える影響は皆無です。

※記事は、数年前に書いた内容に加筆修正を加えたものです。もしかしたら、どこかで読んだ記憶があるかも知れませんが、パクリ記事ではないので、予めご了承ください。

ドル円の長期予想は購買力平価を基準に考える

「購買力平価説」から詳しく説明するとけっこうな文章量になってしまいますので、ここでは軽く説明しておくだけにします。他のサイトで購買力平価について詳しく説明しているのがいくらでもあるので、興味のある方はネットで検索して調べてくださいね。

簡単に説明すると、その時の購買力平価(消費者物価ベースや企業物価ベース)を基準にして、ドル円が安いか高いかを判断する、というものです。購買力平価説は、超長期で考える時に有効な手法で、短期のトレードでは役に立たないので注意してください。

まずは、購買力平価のグラフの画像を貼っておきますね。

ドル円の購買力平価のグラフ(公益財団法人国際通貨研究所資料)

(資料引用元:公益財団法人国際通貨研究所)

購買力平価の数値には、消費者物価と企業物価と輸出物価で計算された数値があり、今回は消費者物価と企業物価を使ってドル円の長期的な予想を立てていきます。

購買力平価(消費者物価)はドル円の上限を示唆

まずは、消費者物価ベースの購買力平価を使用して、ドル円相場の上限を予想してみたいと思います。

これまでのドル円相場は、消費者物価で計算した購買力平価が上限になる場合がほとんどなんですよ。

例えば、購買力平価(消費者物価)が115円だったら、基本的にはドル円は115円以下で推移し、115円に近づいても115円に到達することなく反落していくという場合がほとんどなんです。なので、消費者物価ベースの購買力平価がドル円の上限で、それ以上は上昇しないと考えてもいいかと思います。普通なら。

実は、購買力平価のグラフを見ても分かるとおり、これまで消費者物価ベースの購買力平価をドル円が上回った時期があるんです。それが、1980年代前半のオイルショックの時期で、この時期はかなりのインフレになっていた時期であり、ドル高を容認していた時期でもあります。

この1980年代前半のオイルショックの時期は、インフレとドル高容認で、ドル円は消費者物価ベースの購買力平価を10%程上回っているんですよ。ものすごく特殊な時期です。

そして、実はここ最近もドル円が消費者物価ベースの購買力平価を上回っているんですよ。グラフでは消費者物価の購買力平価111.79円に対して、ドル円の実勢相場は114.43円(2022年1月19日時点)となっています。

1980年代前半のオイルショックの時期と同じように、2022年現在のアメリカもインフレになっていますし、テーパリング(量的緩和縮小)と利上げも予定されていて、ドル高になりやすい環境なので、ドル円が消費者物価ベースの購買力平価を上回ってしまっているのかも知れません。2022年現在も特殊な時期ということですかねぇ。この傾向は昨年あたりからあったと思いますが。

仮に、オイルショックの時期と同じように、ドル円が消費者物価ベースの購買力平価を10%程上回ると考えると、123円前後まで上昇することになります。これくらいなら、ありそうですけどね。ただ、ドル円が消費者物価ベースの購買力平価を上回っているわけですから、いつ反落してもおかしくないと考えておいた方が良いと思います。その方が大怪我をしませんからね。

購買力平価(企業物価)とドル円の乖離率から予想

次に、企業物価ベースの購買力平価を使って、ドル円相場の長期予想をしてみたいと思います。

私は、大きな相場の転換点を判断する際に、購買力平価(企業物価)からドル円がどれくらい乖離しているかに注目して判断すると相場の転換点を大きく外すことは少ないと考えています。私は短期トレードでも乖離率に注目していますが、長期予想でも乖離率に注目しています。

上記のグラフ(公益財団法人国際通貨研究所の資料)では、現在のドル円の購買力平価(企業物価)は2022年12月時点で90.92円になっています。グラフが分かりにくい方は簡単にネットで調べることができるので、興味のある方は調べてみてください。

この購買力平価(企業物価ベース)90.92円を基準として、ドル円と購買力平価の乖離率が上下にだいたい20~25%になったときが相場の転換点と考えています。普段なら笑。

何故、20~25%が転換点かというと、過去に購買力平価とドル円の乖離率がおよそ25%となった時に反転しているからです。もちろん、いつも20~25%まで拡大してから反転しているわけではないので、「最大で25%」と考えています。確か、購買力平価(企業物価ベース)とドル円の乖離率が25%を大きく超えたことは、2000年以降ではなかったと思います(あったらごめん)。

ちなみに、この「乖離率±25%」という数値は、ドル円の2015年6月の高値(円安)である125円とその時の購買力平価(企業物価)を比較したり、2011年10月の安値(円高)である75円とその時の購買力平価(企業物価)を比較したりすることで算出しました。

そして、この購買力平価(企業物価ベース)90.92円から±25%乖離した時点がドル円相場の反転ポイントだと考えた場合、円安方向なら113円台半ばくらい、円高方向なら68円くらいで反転することになります。

現在のドル円が114.43円(1月19日時点)と、円高方向の68円まではかなり離れているので、そこまで意識しなくても良いのですが、問題は円安方向へ推移した場合です。

購買力平価(企業物価ベース)90.92円から+25%乖離させたら、113円台半ばとなってしまい、現在のドル円のレート(114.43円1月19日時点)がすでに超えてしまっているんです

現在のドル円は、消費者物価の購買力平価も超えていますし、企業物価の購買力平価から+25%乖離させた数値も超えてしまっているので、購買力平価で予想した場合、現在のドル円相場はかなりの円安水準ということになります。

先ほど、購買力平価(企業物価)とドル円の乖離率は±25%くらいが限界で、そこまで拡大したら相場は反転していくと書きました。そして、その根拠が2000年以降に一度も購買力平価とドル円の乖離率が±25%を大きく超えたことはないからだと書きました。

ただし、20年以上遡ると乖離率が±25%を大きく超えてしまっている、とんでもない時期があるんです(乖離率の算出は、公益財団法人国際通貨研究所が公開しているグラフの原データを基に計算しましたが、計算が間違っていたらごめんなさいね笑)。

そのとんでもない乖離率があった時期というのが、バブル崩壊後の1995年に襲った超円高の時期で、1995年4月にドル円が79.75円をつけた際の公益財団法人国際通貨研究所が公表しているグラフの購買力平価(企業物価)は153.20円なんですよ。

そして、ドル円79.75円と購買力平価(企業物価)153.20円の数値を使って乖離率を計算すると、なんと-48%程の乖離率になるんです。計算間違ってないですよね? 間違っていたら教えてください。

仮にですけど、現在の購買力平価(企業物価)90.92円から±48%乖離するとした場合、円安方向なら1ドル134円台までの円安が、円高方向なら1ドル47円台までの円高があり得るということになります。さすがにドル円が47円になるとは思いませんが、134円はあるかも知れませんね。

バブル崩壊後の特殊な時期の乖離率48%という数値を参考にして予想することを止め、2000年以降の乖離率を参考に長期のドル円を予想するようにしていたんですけど、ドル円は消費者物価でも上限を超えていますし、企業物価で計算しても上限を超えていますから、現在の世界が特殊な時期なのかも知れませんねぇ。

ここからドル円は反落するのか、過度なドル高円安になりやすい特殊な時期と考えた方が良いのか、それとも、購買力平価を使ったドル円予想は通用しなくなっているのか、迷ってしまいますね笑。

為替相場に敏感に反応する政府や日銀

先ほどから、円安方向に推移した場合ばかり気にして、円高方向に推移した場合のことをあまり気にしていない理由を書いておきますね。それは現政権や日銀の為替相場に対する態度にあります。

現政権や日銀に対しての総合的な評価が分かれるのは仕方ないにしても、間違いなく為替の動向に敏感に反応する体制は整っていると思っています。

何故なら、自民党政権を支えている大きな要因のひとつに、日経平均株価があるからです。日経平均株価が極端な崩れ方をすれば、おそらく、自民党政権は国民の支持を失うことになると思います。だから、株価に影響を与える為替に敏感に反応してきます。

もちろん、それで極端な円安や円高を阻止できるかと言えば、アメリカとの力関係を考えると、阻止できない可能性の方が高いと思います。残念ながら、アメリカがドル高を望めば円安に、ドル安を望めば円高になってしまう可能性が高いでしょう。

それでも、政府や日銀が為替に敏感に反応してくるということを市場参加者が認識していれば、行き過ぎた円安や円高はある程度回避できるか、円安・円高どちらに振れるにしても、戻りが頻繁にありつつ円安や円高がゆっくりと進行する形になるのではないかと予想しています。

自民党政権が続くと仮定すると、株価との関係からも急激に円高に振れるとは考えにくく、購買力平価との乖離率を考えた場合、円高方向へ25%というような幅で乖離することはないのではないかと思っています。円高方向に乖離するとしても0~5%くらいまでかなと。

ただし、購買力平価(企業物価)自体が下がっていくと、ドル円(実勢相場)との乖離率は25%を超えていなくても、ドル円が70円台前半になる可能性はあります。ただ、短期間で急激に購買力平価が下がるものでもないので、そこまで気にする必要はないかも知れません(ここ数年で企業物価ベースの購買力平価が5円以上下がってはいますが)。

ドル円相場の長期的な見通し

ここでは、購買力平価(消費者物価・企業物価)だけでなく、チャート分析を少しだけ加えた最終的な私のドル円相場の長期予想をしてみたいと思います。

正直、ドル円は100~110円の間で推移していくのが一番だと思っているのですが、そういう訳にもいかないと思っています。企業や国民にとってはそれぐらいで推移する方が安定するので良いと思うんですけどね。

購買力平価を基準に考えた場合の長期のドル円相場の上限と下限は、円安なら112~113円で、円高なら68円ということになりますが、2022年1月現在のドル円の高値は116円台半ばまで上昇しており、すでに上限を超えてしまっているんですよね。

問題は、ドル円が購買力平価(消費者物価・企業物価+25%)を超えて上昇してしまうような特殊な時期なのかということですが、私は特殊な時期なのではないかと考えています

なので、ドル円が消費者物価を10%上回るとした場合の123円台半ばまで、企業物価から+48%乖離した場合の134円くらいまで上昇することはあり得るのではないかと考えています。ただ、すぐにここまでのドル高円安が進行するとは考えていなくて、数年かけて到達する可能性があるのではないかという見通しを立てています。

個人的には、2015年の125円台の高値から2020年の101円台の下落で円高相場は終わり、現在のドル円相場は円安相場に転換して、2016年12月の高値118円台半ばを目指して上昇している途中、という感じでいますね。これは2022年のドル円の見通しです。

円高相場は終わっておらず、円高が進行して購買力平価から20~25%乖離した場合は70円前後までの円高も考えられるのですが、為替に敏感に反応する政府や日銀であることを想定して、2020年の101円台で円高のトレンドは終了したのではないかと、大雑把な感じで考えています。月足チャートで確認したらダウ理論的にはまだ確定していませんが。

ドル円は、2015年の125円台から2016年に当時の購買力平価(企業物価)付近の99円前後まで下落した後は、反発して円安方向に振れ118円台まで上昇しましたが、そこから反落して何年間もジリジリと下落を続け2020年3月に101円台まで下落した後、2016年の安値を更新することなく反転して、2022年1月時点では一時116円台に突入しました。

2015年の高値125円台を超えるような円安は2022年中はないと考えていますが、政府や日銀の政策次第でどうなるかわかりません。日本がアメリカと協調するような金融政策を採れば、急激な円安はないと思うんですけどね。

世界的な大事件が起きたら、円安になるより円高になる可能性の方が高いとは思っているのですが、現時点では、何も起こっていないので、ゆっくりと円安方向へ進行するのではないかと考えています。アメリカでは、2022年にテーパリング(量的緩和縮小)と利上げが予定されていることですし。

購買力平価を使ったドル円予想は大雑把な予想

今回は、購買力平価を利用してドル円の長期予想をする方法を書きましたが、FXでは短期トレードをしている(現在は試験勉強のため休止中)ので、正直、役に立ちません笑。

私の場合は、株式投資を超長期でトレードしているので、その際に為替の大まかな見通しを頭に入れておきたいこともあり、購買力平価を利用して超長期のドル円予想をしています。超長期の予想ですから、一度予想したらしばらくは予想する必要がないのが良いですね。

最後に、皆さん分かっていることだと思いますが一応書いておきます。今回の購買力平価を使ったドル円の長期予想は大雑把な予想ですから、軽く参考にするくらいでお願います。現在の円安水準が行き過ぎで、ここから反落して今年中にドル円が100円を割る可能性だってあるんですから。そうなっても破産しないようなトレードを心懸けましょう笑。

それではまた。

▼こちらの記事では、2021年のドル円相場の答え合わせと2022年のドル円相場の見通しを軽く書いています。こちらの記事では購買力平価を使用せず、アメリカの金融政策やチャートを基に軽い予想をしています。

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