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日本国憲法第38条(自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界)を分かりやすくする

記事内容最終更新日:2024年4月4日

日本国憲法第38条(自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界)を分かりやすくするために、条文を平易な文章に変換した後、自分なりの要約などをブログに書いてみようと思います。

憲法条文の中には、平易な文章に変換しなくても簡単に理解できるものもありますが、とりあえず、すべての条文を平易化しています。

憲法第38条では、自己に不利益な供述を強制されない権利を保障すること、違法な取調べで得た自白の証拠能力を認めないこと、自白だけでは処罰されないことが規定されています。

※1 記事内容に誤りがある場合などは、その都度、加筆・修正しますので、気がついた方はコメントやメールなどで教えて頂けると助かります。

※2 本来、条文の第1項の番号は省略されるのですが、分かりやすいように番号を付しています。また、条文を掲載する際は、項をアラビア数字、号を漢数字で表記します。

憲法第38条を平易化

まずは、憲法第38条の条文をそのまま掲載します。

第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

次に、憲法第38条の条文を平易化したものを掲載します。

第三十八条1 誰も、自分に不利益な供述(自白)を強要されない。
2 強制、拷問もしくは脅迫による自白又は不当に長く抑留もしくは拘禁された後の自白は、証拠とすることができない。
3 誰も、自分に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合(証拠が自白のみの場合)には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

憲法第38条の要約等

日本国憲法第38条(自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界)は、自己に不利益な供述を強制されない権利を保障することなどについて書かれています。憲法第38条を要約します。

  • 黙秘権の保障
  • 違法な取調べで得た自白の証拠能力の否定
  • 証拠が自白のみの場合は処罰されない

憲法第38条に書かれている条文内容はこんな感じです。

憲法第38条では、自己に不利益な供述を強制されない権利を保障すること、違法な取調べで得た自白の証拠能力を認めないこと、自白だけでは処罰されないことが規定されています。

憲法第38条1項で「自己に不利益な供述を強要されない」ことを保障しています。要は、黙秘権ですね。これを保障しています。この黙秘権は、刑事手続における被疑者や被告人だけでなく証人にも及びます。

憲法第38条1項の「自己に不利益な供述」とは、本人の刑事責任に関する不利益な供述のことをいいます。例えば、有罪判決の基礎となる事実や量刑上不利益となる事実などのことに関する供述です。

黙秘権の保障についてですが、どんなことでも黙秘権が保障されるわけではありません。判例では、氏名の供述は不利益な供述に含まれないとしており、黙秘権の保障は及ばないので注意してください。

他にも、黙秘権の保障が行政手続に適用されるかどうかの問題がありますが、判例では「国税犯則取締法上の質問調査の手続は38条1項の規定による供述拒否権の保障が及ぶ」として、黙秘権の保障が行政手続にも適用されることがあるとしています(保障が及ばない行政手続もある。参考:川崎民商事件)。

ちなみに、質問調査に当たり供述拒否権(黙秘権)の告知をしなかった場合でも、憲法第38条1項に違反しないとしています。この辺の判例は結果が違っていたりしてややこしいので、判例をよく読むか、触らないようにしてください笑。

憲法第38条1項の「強要」には、供述を拒否したことを処罰したり、拷問を加えたりする強要(直接強制)と、供述を拒否したことに対して、法律上・事実上の不利益を科す強要(間接強制)があり、38条1項はこれら(直接強制・間接強制)の強要を許されないこととして規定したと解されています。

憲法第38条2項では、「強制、拷問若しくは脅迫による自白」と「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」の証拠能力を否定しています。分かりやすくいうと、本人の自由な意思に基づかない自白は証拠として認められないと規定しているということで、これを自白法則といいます。

憲法第38条2項にある「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」の場合で、自白と不当に長い抑留又は拘禁との間に因果関係がないことが明らかに認められる場合(自白と抑留・拘禁との間に関係がない場合)は、自白の強要には含まれず、証拠として扱われるので間違えないように気をつけてください。

憲法第38条3項では、証拠能力がある自白だとしても、その自白を補強する証拠が別にない限りは、有罪の証拠とすることができないことを定めています。要は、自白だけでは有罪にできないという規定ですね。これを補強法則といいます。

憲法平易化・要約の関連リンク

日本国憲法第38条(自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界)を平易な文章に変換した後、間違いやすい箇所なども記載して要約してみました。今後、憲法38条に関することは、この記事に追記していくので更新日が新しくなっていたら、追記内容を確認して頂けると嬉しいです。

自分自身の復習のために条文の平易化作業をしているだけですが、この憲法の条文の平易化作業が、司法書士試験や行政書士試験、公務員試験などの憲法が試験科目となっている独学受験生にとって少しでも助けになれば幸いです。自宅で学習する際の暇つぶしにでも読んでください。それではまた。

最後に日本国憲法を平易化・要約した関連記事のリンクを貼っておきますので、併せて読んで頂けると嬉しいです。

▶日本国憲法第39条(遡及処罰、二重処罰等の禁止)を「日本国憲法第39条(遡及処罰、二重処罰等の禁止)を分かりやすくする」で平易化・要約しています。

▶日本国憲法第37条(刑事被告人の権利)を「日本国憲法第37条(刑事被告人の権利)を分かりやすくする」で平易化・要約しています。