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日本国憲法第29条(財産権)を分かりやすくする

記事内容更新日:2023年12月30日

日本国憲法第29条(財産権)を分かりやすくするために、条文を平易な文章に変換した後、自分なりの要約などをブログに書いてみようと思います。

憲法条文の中には、平易な文章に変換しなくても簡単に理解できるものもありますが、とりあえず、すべての条文を平易化しています。

憲法第29条では、財産権のことについて書かれています。個人の財産権や私有財産制の保障が規定されています。

※1 記事内容に誤りがある場合などは、その都度、加筆・修正しますので、気がついた方はコメントやメールなどで教えて頂けると助かります。

※2 本来、条文の第1項の番号は省略されるのですが、分かりやすいように番号を付しています。また、条文を掲載する際は、項をアラビア数字、号を漢数字で表記します。

憲法第29条を平易化

まずは、憲法第29条の条文をそのまま掲載します。

第二十九条1 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

次に、憲法第29条の条文を平易化したものを掲載します。

第二十九条1 財産権は、侵してはならない。
2 財産権の内容(制約等)は、公共の福祉に適合するように法律で定める。
3 私有財産は、正当な補償をして、公共のために用いることができる。

憲法第29条の要約等

日本国憲法第29条(財産権)は、個人の財産権や私有財産制の保障について書かれています。憲法第29条を要約します。

  • 財産権は国も人も侵してはならない
  • 財産権の内容(制約等)は法律で定める
  • 国民の財産を公共に用いる場合は正当な補償が必要

憲法第29条に書かれている条文内容はこんな感じです。これも読めば分かりますね。

憲法第29条の財産権とは、簡単に説明すると、自分の財産を自由に使ったりすることができる権利のことや財産権を制度として保障する私有財産制のことを意味します。ちなみに、私有財産制とは、財産の個人所有を認める制度のことです。

財産権には、所有権やその他の物権はもちろん、債権や特許権等も含まれます。財産的価値を有するすべての権利が財産権に含まれると考えてください。意外かも知れませんが、鉱業権や漁業権等の権利も財産権に含まれますし、水利権や河川利用権等の公法的な権利であっても、財産的性格を有する限り財産権に含まれます。

憲法第29条1項で、私有財産制度を保障するだけでなく、国民ひとりひとりが有する財産権について、基本的人権として保障しています。

財産権の制約としては、自由国家的公共の福祉に基づく制約(消極目的の規制)と社会国家的公共の福祉に基づく制約(積極目的の規制)があります。

憲法29条2項で、財産権の内容は「法律」で定める、と書かれているので、法律の委任がある場合を除いて、政令による財産権の制約は許されません。では、条例はどうなのかと気になるのですが、条例は憲法上の「法律」に含まれるとされています。政令は内閣が定めますが、条例は地方議会で法律と同じように制定されるためだというふうに私は考えて覚えました。このあたりは私もはっきりとしない箇所なので、あまり参考にしないでください。

一応は条例によって財産権を制約していいとなっているようですが、だからといって、どんな制約をしても良いわけではないので、ひっかけ問題とかで間違えないようにしないといけませんね。

「奈良県ため池条例事件」の判例を読んでも、私のようなアホが読むと「結局どっちなん?」となってしまうんですよね。こういうときはあまり気にしないほうがいいです。「判例の結果だけ知っていればいいか」というくらいで済ませておくのが正解ですね。

憲法29条3項の「補償」については、特定の者に対して「特別の犠牲」を課する場合に補償を要するとされています。こちらの補償は「適法」な行政作用により生じた損失を補償する制度です。「違法」な場合は国家賠償法ですね。

憲法29条3項の「正当な補償」とは、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基づき、合理的に算出された相当な額をいいます。ちなみに、価格が完全に一致することは要しないとされています。

判例では、土地収用法における損失の補償とは「完全な補償」のことで、収用の前後を通じて被収用者の財産価値が等しくなるような補償をするべきとされている。上記に書いた「価格が完全に一致することは要しない」があるので間違えてしまいそうですが、私は「土地収用法の損失補償は完全な補償」と丸覚えして試験に臨みました。

ちなみに、「正当な補償」の補償する時期については、憲法で明記されていないので、同時履行は憲法で保障されていません。ここも間違えないように気をつけたいですね。

憲法平易化・要約の関連リンク

日本国憲法第29条(財産権)を平易な文章に変換した後、間違いやすい箇所なども記載して要約してみました。今後、憲法29条に関することは、この記事に追記していくので更新日が新しくなっていたら、追記内容を確認して頂けると嬉しいです。

自分自身の復習のために条文の平易化作業をしているだけですが、この憲法の条文の平易化作業が、司法書士試験や行政書士試験、公務員試験などの憲法が試験科目となっている独学受験生にとって少しでも助けになれば幸いです。自宅で学習する際の暇つぶしにでも読んでください。それではまた。

最後に日本国憲法を平易化・要約した関連記事のリンクを貼っておきますので、併せて読んで頂けると嬉しいです。

▶日本国憲法第30条(納税の義務)を「日本国憲法第30条(納税の義務)を分かりやすくする」で平易化・要約しています。

▶日本国憲法第28条(勤労者の団結権及び団体行動権)を「日本国憲法第28条(勤労者の団結権及び団体行動権)を分かりやすくする」で平易化・要約しています。