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日本国憲法 第一章 天皇(第一条~第八条)を分かりやすくする

日本国憲法第一条~第八条を分かりやすくするために、条文を平易な文章に変換した後、自分なりの要約などをブログに書いてみようと思います。

憲法条文の中には、平易な文章に変換しなくても簡単に理解できるものもありますが、とりあえず、すべての条文を平易化しています。

この憲法の条文の平易化作業が、司法書士試験や行政書士試験、公務員試験などの憲法が試験科目となっている独学受験生にとって少しでも助けになれば幸いです。一番は自分自身の復習のためなんですけどね。

※1 記事内容に誤りある場合などは、その都度、加筆・修正しますので、気がついた方はコメントやメールなどで教えて頂けると助かります。

※2 本来、条文の第1項の番号は省略されるのですが、分かりやすいように番号を付しています。また、項はアラビア数字、号は漢数字で表記しています。

憲法第一条(天皇の地位と主権在民)

 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

憲法第一条【平易版】

 天皇は、日本国と日本国民をひとつにまとめるための象徴(シンボル)であり、この地位は、主権者の国民の総意に基づいている。

憲法第一条の要約等

憲法第一条は、天皇の地位について書かれています。憲法第一条を要約したいと思います。

  • 天皇は「象徴」であること。
  • 天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づいていること。

短い条文なんで、これくらいですかね。

判例では、天皇には民事裁判権が及ばないと解するのが相当だとしています。要は、天皇は民事で訴えられないということです。

通説では、天皇には刑事裁判権も及ばないとされていますが、通説ですから、行政書士試験等ではここまで出題されないような気もしますけどね。天皇には民亊裁判権が及ばないということだけ覚えておけば良いと思います。

憲法第ニ条(皇位の世襲)

 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

憲法第ニ条【平易版】

 天皇の地位は、世襲(子孫が代々承継すること)であり、皇室典範(皇室に関する事を定めた法律)に従って継承する。

憲法第ニ条の要約等

憲法第ニ条は、天皇の皇位継承について書かれています。憲法第ニ条に書かれていることを要約してみます。

  • 天皇の地位は、皇室典範というルール(法律)に従って、天皇の血縁者が継承する。

短い条文なので、これだけですね。この天皇の世襲は憲法第十四条の法の下の平等の例外です。

勘違いしやすいところがひとつあって、それは「憲法上では、女子の天皇即位は禁止されていないが、皇室典範(法律)によって女子の天皇即位が禁止されている。」というところですかね。ひっかけ問題で「憲法上で禁止されている」と出題されたら、引っかかる受験生がけっこういるのではないでしょうか。

憲法第三条(内閣の助言と承認及び責任)

 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

憲法第三条【平易版】

 天皇の国事行為(憲法第六条、第七条参照)すべてに、内閣の助言と承認を必要とし、天皇の国事行為の責任も内閣が負う。

憲法第三条の要約等

憲法第三条では、天皇の国事行為に関する内閣の助言、承認、責任について書かれています。必要ないとは思いますが、箇条書きで要約します。

  • 天皇の国事行為には、内閣の助言と承認が必要。
  • 天皇の国事行為の責任は、内閣が負う。

条文の内容はこんな感じです。

天皇が国事行為を行うときは、事前に内閣の助言と承認が必要で、内閣の助言と承認を省くことはできないようになっています。そのかわり、天皇は国事行為に関して一切の責任を負わず、内閣が責任を負うことになっています。これは、天皇の政治的な影響力の排除ということもありますが、国民主権の現れでもあると思います。

ここで、ひっかけ問題でよく出題されるのが、「内閣」を「内閣総理大臣」に変えた問題です。ここは「内閣総理大臣」ではなく「内閣」であることに注意しましょう。

試験に出題される可能性は低いと思いますが、ふーんと思った箇所がありまして、それが「天皇は国事行為をするとき、内閣の助言を拒否できない。」というところです。まぁ、考えてみたらそうですよね。助言を拒否できてしまったら、天皇の政治的な影響力を排除できないですから。

憲法第四条(天皇の権能と権能行使の委任)

1 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

憲法第四条【平易版】

1 天皇は、憲法に定める国事行為(政治的な影響力のない形式的・儀礼的な行為)のみを行い、国政に関する権能(政治的影響力のある行為をする力)を有しない。

2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事行為を天皇に代わって他の人に委任することができる。

憲法第四条の要約等

憲法第四条では、天皇の権能とその権能の委任について書かれています。憲法第四条を要約します。

  • 天皇は、国事行為しかできず、政治的な影響力を行使する力を有しない。
  • 国事行為を他の人に委任することもできる。

これくらいですかね。

ちなみに、天皇が行うことのできる国事行為は全部で12個です。憲法第6条に2個、第7条に10個書かれているので、後で確認してみてください。

たまに勘違いしている人がいるので書いておきますが、国事行為を天皇に代わって他の人に委任することができるからといって、委任された人が天皇になるわけではありませんからね。試験で出題されることはないと思いますが、勘違いしないように書いておきました。

憲法第五条(摂政)

 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

憲法第五条【平易版】

 皇室典範(法律)の定めるところにより摂政(天皇の代理)を置くときは、摂政は天皇の名(天皇に代わって)で国事行為を行う。摂政が天皇に代わって国事行為を行う場合は、憲法第四条1項(国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。)の規定を準用(同じように扱うこと)する。

憲法第五条の要約等

憲法第五条では、天皇に代わってその行為を行う摂政について書かれています。憲法第五条を要約します。

  • 摂政(天皇の代理)を置く場合は、皇室典範(法律)に従って、摂政を置く。
  • 摂政も天皇と同じく、国事行為のみ行うことができる(憲法第四条1項を準用)。

これくらいですかね。憲法第五条は軽く読む程度で良いと思います。憲法第五条は、試験に出題される可能性は低いと思いますが、いちおう要約等もしておきました。

知っておきたいのは、「どのようなときに摂政が置かれるかは皇室典範に定めている」ことや「摂政は天皇の代理ではあるが、天皇のように象徴になるわけではない」ということくらいですかね。正直、この2つも知らなくて良いと思いますけどね(笑)。

摂政は、天皇が成年に達していない場合(18歳)や天皇が精神・身体の重患又は重大な事故により自分で国事行為を行うことができないときに置かれます。

最後に準用について少し書いておきます。準用とは、ある事項に関する法令の規定を、似ている別の事項に対して当てはめることです。説明がうまくできませんが、そういうことです(笑)。

憲法第六条(天皇の任命行為)

1 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

憲法第六条【平易版】

1 天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。

2 天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所長官を任命する。

(元の条文と同じになってしまったので、重要な箇所を太字にしておきました笑)

憲法第六条の要約等

憲法第六条では、天皇の任命行為について書かれています。憲法第六条を要約します。

  • 天皇が任命できるのは、内閣総理大臣と最高裁判所長官の2つ。
  • 任命は、国会や内閣の指名に基づいて行われる。

間違いやすいので、もう一度書いておきますが、天皇は「国会の指名」で内閣総理大臣を任命し、「内閣の指名」で最高裁判所長官を任命します。国会の指名なのか、内閣の指名なのかはっきりと覚えておきたいですね。

天皇は、国政に関する権能(政治的影響力のある行為をする力)を有しないので、国会や内閣の指名に基づいて任命するだけです。誰を内閣総理大臣にするか、最高裁判所長官にするかは、天皇が決めることはできません。

最後に「指名」と「任命」について軽く書いておきます。指名は、誰をその地位につけるかを選ぶ行為で、この時点ではまだその地位についたことにはなりません。指名の後、任命することで、正式にその地位についたことになります。こんな感じで覚えておくといいと思います。

憲法第七条(天皇の国事行為)

 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

 二 国会を召集すること。

 三 衆議院を解散すること。

 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

 七 栄典を授与すること。

 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

 九 外国の大使及び公使を接受すること。

 十 儀式を行ふこと。

憲法第七条【平易版】

 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左(ブログでは下記)の国事に関する行為を行う。

 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布(国民に広く知らせること)すること。

 二 国会を召集すること。

 三 衆議院を解散すること。

 四 国会議員の総選挙の施行(法令の効力を現実に発生させること)を公示(国民が知ることのできる状態に置くこと)すること。

 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免(任命と免職)並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証(一定の行為または文書の成立・記載が正当な手続きでなされたことを公の機関が証明すること)すること。

 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

 七 栄典を授与すること。

 八 批准書(国家が条約に同意したことを示す文書)及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

 九 外国の大使及び公使を接受(外交使節などを受け入れること)すること。

 十 儀式を行うこと。

憲法第七条の要約等

憲法第七条では、第六条に続いて、天皇が行うことのできる国事行為(任命以外)が書かれています。憲法第七条を要約します。

  • 天皇が行うことのできる国事行為は第七条に10個書かれている(第六条に2個)。

これだけですね(笑)。憲法第七条に関しては、列記されている国事行為(第六条も)を暗記するだけでOKだと思います。

最後に、憲法第七条で出てきた用語が分からない方もいるかも知れないので、平易版のかっこ書き以外の用語説明を軽くしておきます。

政令は、内閣が制定する命令(ルール)のことで、条約は、国家間の文書による合意のことです。

憲法第七条六号に書かれている、「大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権」というのは、恩赦のことです。恩赦は、罪を犯した者を許したり、刑を軽くしたりすることです。個人的に嫌いな制度ですね。

認証は、ある行為が権限のある機関によってされたことを外部に証明することです。天皇の国事行為では、「認証」の部分を「決定」に変えたひっかけ問題が出題されることがあるので、注意してくださいね(「決定」するのは内閣)。

それと、漢字の間違いが多いのは、「召集」と「招集」ですかね。国会を「召集」なので間違えないように。天皇の場合は「召集」と覚えておけば良いと思います。

憲法第八条(財産授受の制限)

 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

憲法第八条【平易版】

 皇室に財産を譲り渡したり、皇室が財産を譲り受けたり、もしくは賜与(身分の高い人が下の者に金品等を与えること)するには、国会の議決が必要。

憲法第八条の要約等

憲法第八条では、皇室の財産の授受の制限について書かれています。憲法第八条を要約してみます。

  • 皇室の財産の授受(日常的なもの以外)には国会の議決が必要。

これくらいですかね。

間違いやすいのは、皇室の財産の授受についての国会の議決は、衆議院の優越は認められないことですかね。皇室の財産の授受に関しては衆参両院で可決されないとダメです。

ただ、憲法第八十八条の皇室の費用についての国会の議決には、衆議院の優越が認められるので、勘違いしないように気をつけたいですね。皇室の財産の授受に関する国会の議決に衆議院の優越は認められないが、皇室の費用に関する国会の議決には衆議院の優越が認められる、と覚えておきましょう。

憲法第一条~第八条を読んだ感想

日本国憲法第一条~第八条を平易な文章に変換した後、間違いやすい箇所などを記載したりして要約してみました。この記事を書くのに思ったよりも時間を要したので、少しでも受験生等に読んで頂けると、苦労して書いた甲斐があるのでお願いします。

憲法第一条~第八条を読んで、天皇に形式的・儀礼的行為である国事行為しかできないようさせて、徹底的に、天皇の政治的影響力を排除することで、国民主権を実現させようとしていると感じました。私が感じただけで、正しいのかは分かりません(笑)。

次は、日本国憲法 第二章 戦争の放棄(第九条)を平易化・要約等するつもりです。平易化・要約等をしてみて気づいたことですが、けっこう時間がかかるので、記事を公開するのはいつになるか分かりません。気長に待って頂けると嬉しいです。

それではまた。

こちらの記事では、日本国憲法前文を平易化・要約等しています。あまり試験には出題されないかも知れませんが、興味のある方は読んで頂けると嬉しいです。

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